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シリーズ第5弾『認知症plus退院支援』刊行!

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シリーズ第5弾『認知症plus退院支援』刊行!

知症 plus 退院支援

一般病棟ナースのためのQ&A

 

深堀浩樹・酒井郁子・戸村ひかり・山川みやえ 編

 

B5判、192頁、定価 2,860円(本体2,600円+税10%)

 

身体疾患の治療を受ける認知症の人の退院支援を行う上で欠かせない考え方・ケア内容・支援展開について、現場のナースや教育・研究者らが実践知・研究成果や先駆的実践の紹介を踏まえて解説します。明日からの看護にすぐ活かせる実践書!

 

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近年、認知症の人が身体疾患の治療のために急性期病院に入院するケースが急増しています。一般病棟のナースには適切なケアを効果的・効率的に展開し、住み慣れた生活の場で認知症の人がその人なりの健康的な生活を送れるような退院支援が求められています。

一般病棟で認知症ケアの重要性が謳われるようになって数年が経ちますが、「どのように認知症の人を退院支援していけばよいのかわからない」、「そもそも“病棟ナース”が行う退院支援が何かわからない」という現場の声も時折耳にします。本書では、そんな現場の疑問に答えるべく、認知症の人に退院支援を行う上で欠かせない知識や技術について、実践知・研究成果等を踏まえてわかりやすく解説します。

 

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[編者序文(抜粋)]

 

超高齢社会を迎えた日本において、一般病棟に入院する認知症の人は増加し続けています。日本老年看護学会が2016年に発表した「「急性期病院において認知症高齢者を擁護する」日本老年看護学会の立場表明2016」では、急性期病院に勤務する看護職が「治療優先の環境のもとで認知症高齢者本人を擁護する」ことや「治療後の回復像に基づく生活像を家族と共有して早期退院を目指す」ことが表明されています。これらの目標を一般病棟のナースが達成するためには、目の前にいる認知症の人の状態だけでなくその人の地域での生活を見据え、認知症の人のよりよい退院後の生活を実現しようとする“強い意志”、認知症や認知症の人を支えるシステムについての確かな知識に裏打ちされた“実践力”の両方が必要です。本書はこの2点を一般病棟のナースが高められるように企画しました。

 

「第1章 認知症の人の退院支援に必要な基礎知識」は、入院という経験が認知症の人に及ぼす良い影響と悪い影響を一般病棟のナースが改めて認識したうえで、認知症に関する知見、認知症の人の生活を支える地域包括ケアシステムやサービスの詳細といった基礎的な知識を幅広くかつ現場に即して学ぶことができる内容としました。

「第2章 一般病棟で行う認知症の人の退院支援」では、病院内外の多部門・多職種の協力・連携により行われる認知症の人の退院支援において一般病棟のナースが特に果たすべき役割、つまり「入院中のケア提供に責任を持ち、他職種と協働してできる限り円滑に療養の場を移行すること」に必要な内容を時間軸に沿って示しました。他職種と協働して行う「情報収集・状況の把握」、「意向の確認」、「問題の特定」、「退院支援計画の立案」や、一般病棟のナースが主要な責任を持つ、「入院目的である疾患の治療」、「生活機能の維持」、「安心と安全の保障」を同時に行っていくための専門・認定看護師を含む臨床看護師によるケアについての実践知が豊富に含まれています。

「第3章 認知症の人の退院支援の充実に向けて」では、退院支援を発展させてきた病院の経験、日本と世界の認知症に関する政策の発展過程と現状、日本における最新の研究や新しい実践的な取り組みについて紹介しています。

 

また、本書は多忙を極める一般病棟のナースの皆さんが、関心のある内容を選び短時間で効率的に読み進められることを期待してQ&A形式としました。もちろん、最初から順番に読むことで、認知症の人の退院支援に必要な知識・技術を網羅的に知ることも期待できるでしょう。本書が一般病棟のナースに広く活用され、認知症の人の退院後のよりよい生活に役立つことを願っています。

 

2019年11月29日