
この本の初出は1972年、約半世紀前です。痴呆という言葉さえ専門家しか使わない時代です。耄碌(もうろく)というのが一般に使われていた言葉でした。この本は大ベストセラーになり社会現象にもなって、認知症にはまったく無策だった、当時の厚生省を認知症対策に駆り立てたほどでした。...more

小澤勲先生が選ぶ“認知症を知るための本”—14 ライスカレーと母と海
どんなに「ぼけ」が重度になっても、心が通じたと思える瞬間はありますよね。ただ、そう感じられるのは長年連れ添った人だけに許される特権でしょう。私も大変な毎日を送っておられるに違いない皆さんに、ほんのいっときでも憩っていただけるイスを差し出せれば、と願っております。...more

認知症の母を自宅で介護していた著者は、母の骨折を機に在宅を諦め、精神科病院へ入院させることになりました。保護室に監禁され徐々に弱っていく母と、病院を追い出されるのが怖くて職員の対応に文句を言えない娘……。介護保険はむろん、社会資源さえ全くなかった時代の介護記録ですが、令和のいま、過去のことだと断言できるのか、考えさせられます。...more

小澤勲先生が選ぶ“認知症を知るための本”―⑪介護をこえて~高齢者の暮らしを支えるために
「むつき庵」は京都・西陣の一角にあります。そこにはさまざまなベッド、ポータブルトイレ、入浴介助具、シルバーカー、助聴具などのシニア・グッズが所狭しと並べられていますが、圧巻なのはおむつで、数百種類のおむつが置かれています。...more

この本には「二人が膝を寄せて読む本」というサブタイトルがあります。それに従い、小沢先生は翻訳のみらいななさんと膝を寄せて、この本を読んでみたそうです。「ちょっと照れくさかったが、心が通じたような気がした」とのことです。...more

小澤勲先生が選ぶ“認知症を知るための本”ー⑨おばあちゃん ひとり せんそうごっこ
小学生の孫の目から見た「ぼけ」のおばあちゃん。おばあちゃんに辛くあたられ、泣いているお母さんを見て、おばあちゃんは「うちゅうじんに なったんじゃないか」「うちゅうじんといっしょに くらすのは むずかしい」「おばあちゃんなんか しんじゃえばいい」と思います。よくある話とはいえ暗い気持ちになりますが、最後にちょっと救いが。...more

小澤勲先生が選ぶ”認知症を知るための本”─⑧わが母の記:その3「雪の面」
三部作の最後「雪の面」は、89歳で亡くなった母の葬儀に集まった子ども、孫たちの回想です。作者(井上靖)の「母は長く烈しい闘いをひとりで闘い、闘い終って、いま何個かの骨片になってしまったと、その時私は思った」という文章で、この小説は終わっています。...more