マザー
藤川幸之助 著
ポプラ社 / 2000年 / 品切れ
(2008年『手をつないで見上げた空は』と改題、2012年新装版刊行。1,320円)
『マザー』は藤川さんの第一詩集です。この中から彼の詩を紹介しましょう。
当時は、「母もすでに72歳。アルツハイマー病と診断されたのは60歳の頃。もう10年以上たちます。言葉もなくなり、歩くこともままならなく、車椅子の生活が始まりました。……先日、撮ったレントゲン写真で、縮んだ小さな脳とその縮んだ分を埋める沢山の水、こんな状態で母はよく頑張っているなあと感心しました。そんなに病気が進んでも、そんな事実を突きつけられても、まだこの事実が嘘っぱちのような気がするのです。母と二人っきりになった時、フッと『幸ちゃん誰にも言うなよ、ホントはお母さんは呆けたふりしとるとよ…』と私に話しかける気がするのです」と書かれています。
今では、発病後17年経ち、飲み込むことも難しくなり、胃ろうから栄養をとっておられるようです。60歳という若年発症だと、「ぼけ」の進行はどうしても早くなりがちで、身体を巻き込むことも多く、けいれん発作がみられる方も少なからず、あります。
いけない、いけない。あとがきの文章を引用してしまいました。
今度こそ、彼の詩を紹介しましょう。