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認知症 plus 生活の継続認知症看護認定看護師の実践が明らかにする“生活”を考えたケア
認知症看護認定看護師「施設の会」 編
B5判,220頁,定価 3,080円(本体2,800円+税10%)
本書は、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・有料老人ホーム・グループホームなどの高齢者ケア施設に所属する(していた)18人の認知症看護認定看護師(DCN)からの詳細な看護実践報告です。
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「在宅→入院→退院→施設入所」など、環境が変わっても、認知症の人の“生活”をなるべく変えずに“継続”していくことが認知症のケアにはとても大切です。これは病院のナースもよくわかっていることですが、では、どうすればよいのでしょうか?
本書では、DCNたちが迫真の事例とともに、「病院と施設の認知症看護は違うのか?」をはじめとした“治療”の場と“生活”の場の違いが明らかになります。また、コラム「病院にいた頃の自分に伝えたいこと」は急性期病院で認知症の人の看護に悩むナースに、新たな“気づき”をプレゼントするに違いありません。もちろん、高齢者ケア施設のナースや訪問看護師にとっても役立つ“生活の継続”を支える看護実践を学べます。
時間のない方は、18の報告の冒頭に箇条書きでまとまっている「生活の継続をめざす認知症看護:実践のポイント」や、本文欄外に重要な内容を取り出した「キーフレーズ」を読むだけでも、それまでの“認知症看護”がきっと変わります。
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[編者より]
認知症看護認定看護師「施設の会」の正式名称は「介護保険施設等で活動する認知症看護認定看護師の会」ですが、会員は「施設の会」と呼んでいます。2015年1月に関東地方の介護保険施設等(以下:施設)に所属している認知症看護認定看護師(以下:DCN)17人が集まって発足しました。5年経過した今、いろいろな地域から29人が参加しています。
「施設の会」は毎月1回、定例会で集まることを基本としています。主に東京都内で開催し、事例検討をしたり、悩みを相談し合ったりしています。また、SNSも活用し、集まりでは相談しきれなかったことを誰かがアップして、そのテーマについて会員同士の意見が飛び交っています。相談や報告事項は会員それぞれが抱えており、話題には事欠きません。話の中でわからないことがあっても、「貴重なチャンス!」とばかりに全員で学び合っています。
本書の巻末対談にご登場の中島紀惠子先生や太田喜久子先生も、時折、定例会に参加され、貴重なご意見をいただいています。そして、次の日から新たな気持ちで認知症ケアに取り組んでいます。
「施設の会」の重要な目的に、施設で活動するDCNを元気にすることがあります。定例会に来て、悩みを相談し、さまざまな意見から学んだ会員は、帰り際に、「元気をもらった!」「明日からまた頑張れる」と話します。この言葉を聞くと、「会を立ち上げてよかった」と思うと同時に「私も明日から頑張れる!」と元気づけられています。
私たちは、取り組みを自分たちだけに留めず、外部に向けて発信しています。過去には、日本老年看護学会でのポスター発表や自主企画での症例発表会で、「施設におけるDCNに求められる役割」について発表しました。
本書でも18人の会員が、さまざまな施設における認知症ケアについて詳細に報告しています。その内容は、施設だけでなく、病院の看護でも生かせるところが多いと考えています。本書が全ての人の認知症看護に役立つことを願っています。
2020年04月10日