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シリーズ第9弾 『認知症plus身体拘束予防』刊行!

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シリーズ第9弾 『認知症plus身体拘束予防』刊行!

認知症 plus 身体拘束予防

ケアをみつめ直し、抑制に頼らない看護の実現へ

 

鈴木みずえ、黒川美知代 編

 

B5判,144頁,定価 2,640円(本体2,400円+税10%)

 

なにげなく行っているその行為、身体拘束ではありませんか?

 

「患者の安全を守るため」という名目で、急性期病院では認知症高齢者に身体拘束を行うことがよくあります。

でも、本当にそれは患者のため? 実は医療者の都合ではないですか?

看護ケアの方法をみつめ直し、工夫をすることで、せん妄やBPSDの発生を抑え、身体拘束をしなくても過ごすことができます。「今までそうしてから」という思考停止に陥ることなく、組織一丸となって拘束に頼らない看護を実現しましょう。

 

詳細はこちらから

【ご購入者様特典】

 

本書のPart 1のエッセンスをまとめたシート、およびPart 2のフローチャートをまとめたシートを以下のサイトからダウンロードできます。

 

http://jnapcdc.com/dem/kousoku01.pdf

http://jnapcdc.com/dem/kousoku02.pdf

 

注意:ダウンロードには書籍に掲載しているIDとパスワードが必要です。

編者序文(抜粋)]

身体拘束はどうして実施されているのでしょうか? 認知症高齢者の生命や治療を優先させるためといわれてきましたが、本当でしょうか?

急性期病院では確かに、生命の危機的状況にあるときに生じる混乱などのため、一時的に身体拘束が必要な時期があるのは事実です。多くの場合、身体拘束は患者の生命を優先した治療を行うための手段とされてきました。

けれどもよく考えてみると、そのほとんどは患者のためというよりは、医療者を守るためではないでしょうか?

 

身体拘束を一度開始すると、せん妄や認知症の行動・心理症状(BPSD)が悪化して対応が困難となり、やめることができずに漫然と続けなければならない状況を引き起こします。

そして、一番恐ろしいのは、身体拘束を安易に行うことで、人の尊厳に対する看護師の意識や感性が鈍磨してくることです。このような状況になってしまうと、ケアの質はますます悪化し、看護師を疲弊させてしまいます。

 

本書では、病院における認知症バリアフリーへの挑戦として、身体拘束の予防や低減に関する具体的な取り組みを明確にしていきたいと考えました。特に、認知症高齢者に対して身体拘束をしない看護の実現に向けて、認知症高齢者のニーズや日常のケアをみつめ直すことを前提にしています。

 

Part 1では、身体拘束の現状や考え方について示すとともに、せん妄予防と対応方法、多職種連携、そして診療報酬において身体拘束がどのように評価されているか等、身体拘束に関する概論を示しました。

 

Part 2では、身体拘束をしないための看護のプロセスをフローチャートで示しました。認知症の人が置かれた状況と、本人が抱く思いなどについて、パーソン・センタード・ケアに基づいた認知症高齢者の視点からのアプローチとともに、身体拘束に関係しているせん妄発症を予防することに重点を置きました。

また、認知症高齢者に対する身体拘束を予防・低減するための取り組みとして、入院前、入院直後、術後に行う具体的な看護実践を提示しました。それぞれの時期において、自らの思いを言葉でうまく表現できない認知症高齢者の食事、排泄、清潔、移動などの基本的なニーズや、認知症高齢者が1人の人として生きるためのその人独自の心理的なニーズに対して、看護師はていねいに対応していく必要があります。

以上に加えて、それまで安心・安全に送っていた日々の生活が入院によって急変したために生じる不安・恐怖や、それにより引き起こされる混乱・せん妄を予防することが、身体拘束をしない看護へとつながるのです。

 

しかし一方で、身体拘束の予防・低減・廃止は、看護師一人ひとりの努力だけでは実現できない組織の課題でもあります。Part 3では、身体拘束をしない組織づくりに向けて積極的にチャレンジするための段階的なプロセスを提示しています。身体拘束をしない看護の実現に向けて、個々の意識の転換から始まり、組織に対する具体的な提案や取り組みの方法について記しました。また、実際に身体拘束をしない看護を実践している臨床現場からのレポートも多数紹介しています。

 

さらにQ&Aでは、日々の実践の中で抱くことの多い疑問について取り上げました。

 

本書は、これから身体拘束の予防・低減に取り組もうと考えている皆様に向けての熱いメッセージやエールにあふれています。どうかお手に取っていただき、ナースステーションに置いて、日々の看護実践にご活用いただければ幸いです。

 

2020年06月24日