一般社団法人 「日本認知症の人の緩和ケア学会」設立趣旨(一部抜粋)
私たちが追求しなくてはならない認知症の緩和ケアをめぐる課題は多岐にわたります。
例えば
・摂食・嚥下障害など食に纏わる課題、末期の肺炎の苦痛に対する緩和ケア、終末期の褥瘡、疼痛など重度から末期の身体的苦痛への対応
・骨折や肺炎など合併症による急性期の痛みや呼吸苦などの苦痛
・行動・心理症状として表出される身体・心理的苦悩への対応
・心不全、骨折などの併存疾患のマネジメントと全身管理
・鬱、不安、不眠、孤独などの精神的な苦痛への対応
・認知症の方がもつSpiritual pain(実存的苦痛)への対応
・独居、経済的困窮、セルフネグレクトなど社会的な苦痛への対応
・身体拘束を含む医療行為に伴う苦痛への対応や治療負担(treatable burden)への配慮
・認知症の方の苦痛の評価法の確立
・認知症の告知に伴う苦痛への配慮
・認知症の方の本人本位のACP(アドバンスケアプランニング)推進
・認知症の方の家族ケア
・遺族の悲嘆ケア
・経済社会的状況によるケアの格差
などです。
私たちはこれら認知症の緩和ケアに関する実践、教育・研修、研究を推進するために、「認知症の緩和ケアに関する研究会」の活動を礎にし、一般社団法人「日本認知症の人の緩和ケア学会」を設立することを決定いたしました。
我々は、本学会の活動が我が国の認知症の医療と介護現場に緩和ケアアプローチを根づかせること、そして緩和ケアアプローチの普及が認知症の医療とケアの質の向上に貢献することを心から期待しています。