●原則3:性的逸脱行為を注意して正すのは、効果的ではないことを知っておきましょう
性的逸脱行為の内容・パターンは、認知症のタイプによっても違います。性的逸脱行為が目立つのは、ピック病に代表される前頭側頭型認知症の人です。
このタイプの人は、場の空気を読み言動を調整するといった前頭前野の神経細胞がダメージを受けるため、記憶に関与する海馬が萎縮するアルツハイマー型認知症の人と比べると記憶障害は目立ちませんが、周囲の状況やルールを無視したような言動が多くみられます。自分の言動を環境に合わせて調節するさじ加減がわからないのです。「こんな所でそんなことをしなくても」といった言動が増え、その中に性的逸脱行為があります。
また、目の前の出来事に影響を受けやすく、目の前においしそうな食べ物があれば食べ、目の前にかわいい人がいると触るのです。“今、やりたいからやる”という発想なので、相手を困らせようと思ってする行動ではありません。そのため、注意されても心には響きません。むしろ「この人は敵」「私を嫌っている」と感じてしまいます。